- 著者
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牧野 幸志
- 出版者
- 摂南大学経営学部
- 雑誌
- 経営情報研究 : 摂南大学経営学部論集 (ISSN:13402617)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.2, pp.35-50, 2014-02
本研究の最終目的は,関係崩壊時の対処においてどのような方略が用いられ,それらが関係崩壊,関係維持,関係修復にどのような影響を与えるかを検討することである。牧野(2013)では,恋愛関係崩壊時に,別れを切り出した側がどのような方略を用いるかを検討した。この研究に引き続き,本研究では,恋愛関係崩壊時において,別れを切り出された側が,どのような対処方略を用いているかを調べた。また,話し合いなどの対処方略の効果,その後の関係についても検討した。調査参加者は大阪府内の私立大学(共学)に通う大学生148 名(男性100 名,女性48 名,平均年齢19.63歳)であった。このうち恋愛経験があり,相手から別れを切り出された経験のある参加者57 名を分析対象とした。対処方略に対する因子分析の結果,関係維持懇願,説得・話し合い,恋人非難,譲歩・受容,恋人高揚,遅延方略が抽出された。対処方略の使用は,別れを切り出された側の目的により異なっていた。関係維持,関係修復を目的とする人は,関係維持を懇願したり,話し合いを行っていた。他方,相手の考えや気持ちを尊重する目的をもつ人は譲歩・受容していた。さらに,別れに怒りを覚え攻撃を目的とした人は,恋人を非難していた。対処方略の使用に性差がみられるか検討した結果,恋人非難方略において,有意差がみられた。男性よりも女性の方が恋人非難方略を使用する傾向が高いことが示された。最後に,対処方略の中で,関係維持懇願方略が関係修復に促進的効果をもっていたが,話し合い後,関係が修復した人は12.3%であった。